働き方見直しプロジェクト

更新日:2018年08月27日

最近、「働き方改革」「女性の活躍推進」という言葉をよく目にします。このことに関連し、企業で近年取り組まれるようになったことの一つに「ダイバーシティ経営」があります。「ダイバーシティ経営」とはどういったもので、働く人は何に取り組めば良いのか。
働き方について、「社会全体としての観点」、「企業としての観点」、そして、「働く人・家族・個人の観点」の全てで見直していきましょう。

「社会全体としての観点」

なぜ今、女性の活躍推進が求められるのか

日本の労働力人口は、1998年の6,793万人をピークに減少が続いています。日本政府は、これからも私たちが豊かな生活を維持できるように労働力を維持していこうと、女性や高齢者の活躍を進めています。
出産を機に離職する女性は、出産前の女性の就業人口の6割以上と言われています。そこで国は、『日本再興戦略』の中で25~44 歳女性の就業率(人口に占める就業者数の割合)を、2020年までに77%にまで上昇させるという具体的な目標を打ち出しています。

労働力人口が減ると何が起きるのか

15歳から64歳の働き手の減少は、国全体の経済や労働市場の縮小に直結します。また、少子高齢化が進むことで高齢者を支える働き手世代の割合が減ってきます。そうすると、GDPは減少する一方、国家予算に占める社会保障費の割合は増えていくと予想されるため、今までのような豊かな生活はできなくなってきます。
今まで子育てや家事で思うように仕事に就けなかった女性や高齢者も希望に応じて働けるような環境にしていくため、これまでの男性中心型の労働慣行といった働き方を見直していくことは必要なのです。

「企業としての観点」

ダイバーシティマネジメントとは

ダイバーシティとは多様性のことです。多様性があることを活かして様々な価値を生みだしていこうとする経営が「ダイバーシティマネジメント」です。
近年は情報やモノが溢れ、めまぐるしく変化する時代ですので、多様な考え方や価値観を商品やサービスに取り込むことが、競争力強化に求められているのです。国も経済産業省の「新・ダイバーシティ経営企業100選」の大臣表彰などを通じて積極的に推奨しています。

なぜ今、ダイバーシティなのか

ダイバーシティは、消費者市場と労働市場の変化を見ると必要性を見出すことができます。

消費者市場の変化

市場に多くの情報が流れている近年は、消費者のニーズも多様化しており、様々な価値の商品やサービスが求められています。

労働市場の変化

  • 「Karoshi」(過労死)やブラック企業という言葉に代表されるように、長時間労働をなくし、働き方改革が求められる時代です。
  • 少子高齢化が進み中、人材確保において多様な働き方に対応した職場が選ばれる時代です。

つまり消費者ニーズと労働市場の両面から、一人ひとりの個性や能力を活かし、多様な働き方を推進するダイバーシティ経営が求められています。

「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」

働き方改革、女性の活躍推進、ダイバーシティ経営につながる有効な取組としてワーク・ライフ・バランスがあります。

ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)とは

~仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章〔内閣府〕より抜粋~

  • 仕事と生活の調和と経済成長は車の両輪であり、若者が経済的に自立し、性や年齢などに関わらず誰もが意欲と能力を発揮して労働市場に参加することは、我が国の活力と成長力を高め、ひいては、少子化の流れを変え、持続可能な社会の実現にも資する。
  • 「仕事と生活の調和が実現した社会」は、国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会。

ワーク・ライフ・バランスの推進は、制度や環境を整えるだけではなく、社員全員の仕事や業務の進め方、考え方、さらには会社風土を見直していくことが重要です。大切なことは、ワーク・ライフ・バランスといっても、会社の個性が取組に活かされていることです。
そのため、はじめに検討していただきたいことは、会社の中に「働き方見直しプロジェクトチーム」や委員会のような組織を立ち上げ、社員アンケートや座談会などを通じて自社の現状分析や課題を出していくことが大切です。今の働き方で満足できているか、改善して欲しい点はあるかなど、社員の声を集めると課題が見えてきます。その上で目標を設定し、具体的な取組を決めていくことになります。
厚生労働省の「女性の活躍・両立支援総合サイト・両立支援のひろば」には、取組の参考として次世代育成支援対策推進法に基づく各企業の一般事業主行動計画が掲載されています。

 

働き方の見直しの代表的なテーマと具体的な取組は次のとおりです。

働き方見直しのテーマ(代表例)

  • 残業時間の縮減
  • 仕事の属人化をなくす業務の見える化、多能化
  • 男性の家事・育児等への参画の推進
  • 休暇を取りやすい職場風土づくり
  • 仕事と介護の両立支援
  • 管理職の意識改革

1.残業時間の縮減

「時間はコスト」という意識を徹底することが大事です。
まず、経営トップや管理職は「部下の時間を効率的に使う」という観点で仕事をマネジメントしていく必要があります。大切なことは、今までよりも短い時間で成果を上げるためには、今までとやり方を変える必要があるということです。ミーティングにコンサルタントを同席させたり、専門家のサポートを得たりすることも一つの方法です。
また仕事を積み上げるのではなく、削減や廃止ができないか、又は短縮するための手法は無いかといった視点で日頃から考える習慣が大切です。
その上で、仕事の評価は時間ではなく、費用対コストを踏まえた成果であることを組織全体で確認する必要があります。

取組例

  • 専門家のサポートを得る。
  • 時間外労働の削減目標や上限を定める。
  • パソコンシャットアウトや消灯などの時間ルールを定める。
  • 「お付き合い残業はやめましょう」のポスターを掲出する。
  • 部署ごとに残業削減の目標設定を行い、朝礼で発表する。
  • フレックスタイム制の導入など、繁忙期と閑散期に柔軟に対応できる体制をつくる。
  • スケジュールの共有化によるフォロー体制をつくる。
  • 「○○時以降は業務指示しない」などのルールを決める。
  • 外線電話受付時間を制限する。
  • 時間外の社内メールを禁止する。

2.仕事の属人化をなくす業務の見える化、多能化

高度な仕事になるほど特定の社員に仕事をまかせる傾向はありませんか。「その人にしかできない仕事」というのは、組織にとってリスクです。その従業員が休んだり、辞めてしまうと業務がストップしてしまうリスクがありますし、チーム全体の意見を取り入れた方が結果的に多様な考えを反映することができます。
仕事の属人化は長時間労働にもつながりますので、無くしていく必要があります。

取組例

  • 担当者が限られる業務と、そうでない業務に仕分ける。
  • パソコンデータの共通閲覧設定、スケジュールの共有、ランチミーティングでの仕事の共有など見える化を進める。
  • 業務手順を明らかにし、社員の周知することで仕事の標準化を進める。
  • 標準化した業務の標準所要時間を決めて、目標をもって仕事に取り組めるようにする。
  • 業務マニュアルを作成する。

3.男性の家事・育児等への参画の推進

男性が家事・育児等に参画するようになれば、女性も男性を同じように気兼ねすることなく働くことができます。新入社員を対象にしたアンケートによれば、両立支援に取り組む企業が会社選びの条件として重視される傾向にあり、企業の人材確保にあっても注目すべきポイントです。

取組例

  • 男性向け有給の育児休暇制度
  • 育児参画計画書を活用した計画的な育児休暇の取得と職場の理解
  • 学校行事休暇の取得促進
  • 社員の子ども向け会社見学会開催

4.休暇をとりやすい環境づくり

出産・子育て・介護・自己啓発・地域活動など様々な理由で休暇がとりたくても仕事を優先せざるを得ず、思うように休暇がとれない社員は多くありませんか。
社員が仕事以外のことにも気兼ねなく参加できるようになると、仕事に対するモチベーションも高くなります。会社の中で「共に支えあっているから休暇がとれる」という思いが芽生えると、誰もが仕事で貢献していこうと思います。
職場全体で休暇のとりやすい雰囲気づくりをしていくことが大切です。

取組例

  • 積立休暇など、本当に必要な時に休暇がとりやすい仕組づくり
  • 集中休暇取得月間等の設置
  • ランチミーティングで翌月の休みを共有
  • 社員同士で仕事の共有をしていく(ペアで仕事をするなど)

5.仕事と介護の両立支援

高齢化が進む中、中堅・幹部社員が仕事を続けていく上で大きな課題になることが介護の問題です。少子化で介護に係る一人ひとりの負担は増えています。会社のあらゆることを知っている熟練の社員が介護を理由に仕事を続けられなくなることもあります。
介護は、企業の管理職層が抱えることの多い課題であり、仕事と介護を両立しながら働ける環境づくりを進めると、働き方改革が大きく進む可能性があります。

取組例

  • 介護のための短時間勤務
  • 有給の介護休暇制度の設置
  • 相談窓口の設置や介護経験者に相談できる仕組の構築

6.管理職の意識改革

働き方改革を進める上で、これまでの働き方は、家事、育児、介護といった制限なく働ける社員を中心にした男性中心型の労働慣行の中で作り上げられてきました。このことから、必要なことは管理職の意識改革です。今後、少子高齢化や女性の社会進出によって、介護や育児などを理由に時間制約がある社員の数は増加していきます。
少子高齢化は、管理職自身が家族の介護で今まで以上の負担を強いられていくことも予想されます。管理職自ら、自分のこととして受け止め、社員も同じように時間制約の中で働いていることを前提にマネジメントしていく必要があります。

取組例

  • 組織目標にワーク・ライフ・バランスを組み込む
  • 管理職を対象にした両立支援セミナーの実施
  • 外部講師や専門家を活用した研修会の実施