【災害関連】避難所等におけるトイレ対策の手引き

更新日:2018年08月27日

大規模な災害が発生した場合、家屋の損壊やライフラインの途絶などにより自宅での生活が困難になった多数の被災者の方が、避難所に来られ長期間における共同生活が必要となります。

避難所で安心して使用できるトイレを確保することが被災者の健康を確保する上で非常に大切なこととなります。そのような事態に備えるため、トイレ対策の手引きを作成しましたのでご活用ください。

避難所におけるトイレ対策の手引き (PDF:1.7MB)

1.大規模災害時の避難所におけるトイレをめぐる問題点について

過去の大規模災害時には、水が流れないトイレを使用し、あっという間に便器内が大小便の山となった事例や、トイレ回数を減らすため水分や食事を制限されエコノミークラス症候群を発症された被災者の方が多数おられました。

災害時には必要量の仮設トイレがすぐに避難所に届くとは限らず、避難者数に対する仮設トイレの必要数が確保できるまでの間、避難所の既設トイレや応急トイレ、携帯トイレ等を適切に使用することが必要になります。

また、仮設トイレが設置された後も衛生面に留意し、誰もが使いやすいトイレを維持することで、トイレの回数を減らし水分や食事を制限するなどを起因とするエコノミークラス症候群等の防止に努めることが大切です。

2.災害用トイレの種類

1 携帯用トイレ

既存の便器につけて使用する便袋タイプ。吸水シートや凝固剤で水分を安定化させる。

携帯用トイレの写真

 

2 応急トイレ

テント・ブルーシートで周囲を囲い、ダンボールトイレやイス型トイレなどを設置する。

応急トイレの画像

 

3 貯留型仮設トイレ

貯留槽がある組立式トイレ。設置場所を選ばず、設置することが可能。溜まった汚物はバキュームカーが収集する。

貯留型仮設トイレの写真

 

4 マンホール型仮設トイレ

マンホールトイレ対応の組立式トイレ。マンホールの上に設置する。マンホールの上流から水を流し、汚物を流すためバキュームカーによる収集の必要がない。下流の管路の点検確認後に使用を開始する必要がある。

マンホール型仮設トイレの写真

 

3.トイレの大切さ

1.トイレを我慢しないことが大切  

食べ物を控えたり、トイレを我慢したりしませんか?

実際に、阪神・淡路大震災や東日本大震災でも同じような気持ちで飲食を減らし、トイレを我慢し、体調を崩され、脱水症状、エコノミークラス症候群や脳梗塞、心筋梗塞を発症し死亡された方も多かったと言われています。

2.安心していけるトイレの環境づくりが大切

一人一人がトイレを綺麗に使いましょう。定期的に清掃を心がけ、安心して行けるトイレ環境をつくりましょう。

4.災害時配慮すべきこと

トイレの問題は死に繋がる非常に重要な問題です。

阪神・淡路大震災や東日本大震災、また熊本地震においても、避難所等で健康を害して死亡するという関連死が見られました。その原因の一つにトイレ問題があります。

阪神・淡路大震災では、震災関連死と認定された方の死亡原因のうち、3割程度が心筋梗塞や脳梗塞で亡くなっておられます。それらの中にはトイレの回数を減らすために水や食事の回数を減らし、結果、血液の流れが悪くなり心臓に負担をかけ亡くなられた方もおられると言われています。

避難所には、避難されて来た方や、避難所周辺の在宅避難者、車中避難者の方がおられ、男女の違いはもちろん、高齢者の方や妊婦の方、乳幼児、障害をお持ちの方等、様々な方がおられます。

これらの方々がトイレを快適に使い、トイレを我慢する必要のない環境を作ることは、関連死の防止にとって、非常に重要になります。

災害時には仮設トイレも不足し、様々なタイプの災害用トイレをお使いいただくことになりますが、可能な限り、女性用、高齢者用、障害をお持ちの方用とトイレを区別し、それぞれの方に配慮したトイレ環境を構築していただくよう、衛生班及び避難者の方で協力しトイレ問題に対処いただくことが大切です。

5.避難所における行動について

大津市では“大津市避難所運営マニュアル”を作成しております。

このマニュアルは、大規模災害(大地震)発生時に避難所において発生することが予想される課題を示し、いつ、誰が、何を、どのように対応すべきなのかを理解することにより、被災者の生活再建に向けた円滑な避難所運営が行われることを目的としています。

このマニュアルの中から、災害時に誰もが直面するトイレの問題についてピックアップしました。

初動期

初動期とは、地震発生直後の混乱状態の中で避難所を開設運営するために 必要な業務を行う期間です。

1.状況把握 

被災状況、避難者数、水洗便所使用の可否等の情報収集に努めてください。状況確認後、災害対策本部事務局へ報告してください。
トイレが使用できない場合は、使用不可の旨の表示をするなどの措置をとってください。
トイレはすぐに必要になりますので、簡易トイレや応急トイレの使用を周知してください

展開期~安定期

展開期とは地震等の発生後2日目~約3週間程度までの期間です。

1.既設トイレの状況確認と使用制限

  • 水、停電、便器、排水管の破損等の状況を可能な限り調査し、使用の可否を貼紙等で掲示します。
     既設トイレで水が利用できる場合は、通常どおり使用してください。
     既設トイレで水が利用できない場合は、排泄後、確保している水を使用しバケツで流してください。
  • 使用の可否は、施設内のそれぞれのトイレに貼出し、避難者への周知徹底を図ります。
  • 避難者の状況に応じ、避難スペースから近いトイレを災害時要援護者用に指定します。
  • トイレは100人に1基(大便器)の割合で確保に努めます。
    (初動期から展開期の初期までは、250人に1基の割合で確保に努めます。)
  • 可能な限り男女トイレを区別します。

2.トイレが不足する場合の応急措置

仮設トイレが届くまでには時間がかかる場合があります。衛生班の方は避難者の方と協力して仮設トイレが設置されるまでの間の応急措置をお願いします。  

  • 簡易トイレ、応急トイレの備蓄がある場合はそれらを使用してください。
  • 使用が出来ない既存の便器に大きめのビニール袋をかけた後、簡易トイレを利用していただくと、処理が容易にできます。

 地面に穴を掘って応急トイレを設置する場合

  1. 簡易トイレや、応急トイレの備蓄が無い場合は、地面に穴を掘り応急トイレを設置します。
  2. 応急トイレは、井戸等から概ね30m以上離れ、花壇等の容易に穴が掘れる場所に設置します。
  3. 転倒防止のため足場を設けるとともに、ブルーシート等で囲いを設置します。
  4. ごみペールやポリバケツ、灯油缶、ドラム缶等を埋設し、汲取りやすくすれば繰り返し使用できるよう工夫します。
  5. 可能な状態であれば、男女トイレを分ける、または、何割かは女性専用とします。

 注:これらはあくまで仮設トイレが設置されるまでの代替手段です。

3.仮設トイレの設置とトイレの使用方法

(1)施設管理者と衛生班が協議の上、仮設トイレの必要数の手配を市担当者から初動支所班を経由して、災害対策本部事務局へ要請します。
(2)仮設トイレは衛生班及び避難者が協力して次の要件を満たす場所に設置します。

  1. 車両が進入でき、非難スペースの出入り口から近い場所
  2. 照明が確保され(確保しやすく)、夜間でも使用できる場所
  3. 在宅避難者も容易に気づく場所
  4. し尿収集が容易な場所で、視聴覚障害者の使用を考慮して、できるだけ塀や壁際に設置してください。

(3)仮設トイレは、性別及び災害時要援護者用に区別し、入口等に掲示するとともに、使用方法、注意事項を張りだし、避難者への周知徹底を図ります。
(4)仮設トイレを設置された場合、汲取りが必要になりますので、直ちに災害対策本部事務局へ報告してください。

汲取りのイラスト

4.トイレの防疫、衛生、清掃対策

衛生的ではないトイレのイラスト

  1. 衛生班は、施設内トイレや仮設トイレの消毒、殺菌等について、災害対策本部事務局及び保健所と連絡調整し対応にあたります。
  2. 施設内トイレや仮設トイレの清掃は、避難者自身に当番を割り振り、毎日実施するよう周知します。
  3. 手洗い消毒液の交換等の衛生管理は、避難者が当番を決め、毎日行うことを周知します。
  4. 避難所に視覚障害者がおられる場合は、数基(少なくとも1基)の仮設トイレは、利用しやすいように壁や塀沿いに設置し周知します。
  5. トイレの清掃時には放送等で広く避難者に周知します。
  6. 簡易トイレ、応急トイレについても衛生管理に留意します。
  7. 衛生班は物資班に対して、トイレ、衛生用品(トイレットペーパー、紙おむつ、生理用品)、清掃用具、清掃溶剤等の手配を要請します。

 注:仮設トイレの汲取りは、早めに災害対策本部事務局へ要請します。
 注:使用後のトイレットペーパーは、ビニール袋に入れ保管しゴミとして回収します。
 注:学校避難所においては、断水の場合、水洗トイレ用水は、仮設トイレが設置されるまで、プールの水を活用します。

6.家庭でのトイレ対策について

災害時には水が出ない、トイレが流れないなど、家庭のトイレが使用できない場合があります。災害に備え簡易トイレの備蓄をすすめましょう。

トイレの回数は1人1日平均5回と言われています。
家族4人が3日間簡易トイレを使用すると仮定すると必要な簡易トイレの枚数は60枚です。

 

携帯用トイレ必要枚数 1人×1日約5回×4人×3日間=60枚

トイレットペーパーの備蓄について

経済産業省によりますと、トイレットペーパーの国内生産の約4割は静岡県で行われているため、東海地震等が発生した場合には、トイレットペーパーが全国的に深刻な供給不足となるおそれがあります。トイレットペーパーの備蓄はお住まいの地域で災害が起こらなくても必要になってくるため、各ご家庭での備蓄を行いましょう。

また、トイレットペーパーに限らず、消毒薬、使用済みの携帯トイレを入れるポリ袋などトイレ使用時に必要となる消耗品についても備蓄をしましょう。

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環境部 廃棄物減量推進課
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