河村 朱美さん

更新日:2018年08月27日

河村 朱美社長の写真

株式会社古川与助商店
代表取締役社長 河村朱美さん

1. わが社はこういう仕事をしています

(会社の事業内容、従業員の特徴を教えてください。)

自社製のコートを手にする河村朱美さんの写真

昭和10年に母方の祖父が創業し、もともとは西陣織の金銀糸の糸を作る会社でしたが、糸を作る工程のカット技術に特化し、現在は水引の素材のフィルム、ナイロン不織布、和紙などを細く切って巻き取るカット加工業をメインとしております。

数年前、加工の仕事が中国の企業などに流れ下請け業として売上に大打撃を受けたことをきっかけに、自分たちで何かできないかと和紙を撚り織ってブラウスの生地をつくり、和紙糸と共にロンドンの展示会に出展したところ世界で大変高く評価していただきました。

お客様の感動の声を直接伺える体験が目からウロコとなり、自分で商品を売り出す喜びに気づかせていただきました。現在は和紙糸を使ったジャケット等の商品開発も進め、地元滋賀の方々に応援をいただきながら国内外に発信しています。

従業員は7名の体制で、その内2人はこの夏から、8年間ひきこもりだった男性と定時制高校に通うご両親がおられない方をアルバイト採用しています。小さい頃から事情を知っていて、会社として貢献させてもらいたいと思っていた事がようやく達成できました。年代も上は70代から、真ん中が40代という幅広さで、少ないながらも家族経営の感覚で営んでおります。

2. トップリーダーとして求められるもの

(現在のポジションになられた経緯、やりがい、信念などを教えてください。)

古川与助商店の工場の外観

平成15年に3代目として代表になりました。
20代の頃はアパレル関係の仕事をしていて、30代から経理として手伝っておりました。もともと継ぐ気はなかったのですが、継承者がおらず、今しかないという直感で思い立ち、私がやると宣言して継ぐことになりました。

代表になってすぐ工場を移設する事態となり、工場を建てる認可が取れず移転できなければ会社を閉めなければいけないという時、奇跡的に人とのご縁でサポートが入って条件が整い、2年かかりましたが認可が取れました。

そこから色んなミラクルが起こり、メイドインジャパンプロジェクトのお声掛けでロンドンでの展示が実現し、また和紙糸でジャケットを作るきっかけを頂く出来事など、色んな人とのご縁や出会いに助けていただいて今があります。

もともとアパレルは好きな分野であり、カット技術で洋服につながるお仕事ができているだけでも嬉しかったのですが、気付けばもともと自分がやりたかった「洋服を作る」ことを仕事することができています。
オーダーして好きな色を着てもらえるのがたまらなく嬉しく、今までの加工の仕事とは、また違う喜びがあり大変やりがいを感じています。

3. 毎日いい仕事をするためのルーティンワーク

(スポーツ選手のように、仕事をする上で個人や会社全体でのルーティンワークはありますか?)

工場内の機械の写真

毎朝7時過ぎには、会社に出社するようにしています。
まずはじめに、従業員用にお茶を沸かし、金魚にえさをあげます。

その後、機械に朝の挨拶をしてまわります。
「おはようございます。今日もよろしくお願いします。」と挨拶するのですが、機械というのは、ほんと不思議なのですが、同じ人が同じ機械を触っているのに、挨拶をするのとしないのでは、仕上がりが全然違ってくるのです。

機械については詳しくないのですが、調子が悪いと音がおかしくなるため、音に対してはかなり敏感にわかるようになりました。
調子が良い時は、すーっといい音がしているのですが、調子が悪い時は、ひとつだけ音が音痴になったように、周りと合わなくなってくるので、常に音のチェックはするようにしています。

あとは、毎日従業員の靴を揃えること、花の水やりをする時も植物に声をかけながらしています。
1日の始まりである朝の時間は、やはり一番大事だと思います。

4. もっと愛される会社に。トップが語る将来のビジョン

(今後こうしたい、という会社のビジョンはありますか? )

ひきこもりの子どもたちが予想以上いることを情報として知り、会社として何かできることがないか考えています。
その方たちに今からでも遅くないと投げかけ、中小企業を巻き込みながら、少しでも社会とつながる場をつくっていきたく、週1回でもうちの会社にきてもいいよと言っていただけるような企業と連携していきながら、10年後には、かなりの人が社会につながっている状態にしたいです。

いつか親も亡くなります。その時に社会とつながっていない、友達もいない、それでは面白みもないし、自分の可能性も知らないで時間を過ごしていることは大変もったいないと感じています。それを会社として受け入れることに挑戦していきたいと思っています。

また、色んな中小企業とのネットワークの中で、もっとアイデアを出し合いながら面白いことを実践し、仲間と連携していろんな人を受け入れ、新しい事例を作っていき、障害者、引き籠り等の枠を超えて、人間としての生きがいを職場で体験できるような環境を作っていけたらと思います。

5. 私が考える、いま求められる人材とは

(求める人材の特徴、期待するところを教えてください。)

色んな企業に目を向けてみて欲しいと思います。
大きい会社で働くというのも素敵なことですが、中小企業に目を向けてみると、入社すると1本柱になって自分のやりたいことができる場合が多いと思います。
大手に入ってしまうと、なかなかすぐにはやりたいことができないことが多いと思うのですが、小さなところであるからこそ、即戦力となり自分がやりたいことを自分が中心となってやっていけるのが中小企業の良いところでもあると思います。

就職活動の時には、もっと中小企業にも目を向けて情報を集めてほしいと思います。
私からも仲間を紹介できますし、どんどん自分から中小企業の会社に行かれてはどうでしょうか。

新しい価値観で新しい仕事をつくっていってほしいと期待しています。
きっと、やりがいもいっぱい生まれ成長できると思います。