父母の離婚後の子の養育に関する見直しについて

更新日:2025年12月01日

民法等の一部の改正法

令和6年5月17日に、父母が離婚した後もこどもの利益を確保することを目的として、民法等の一部改正法が成立しました。

この改正法はこどもを養育する父母の責務を明確化するとともに、親権(単独親権、共同親権)、養育費などに関するルールが見直され、令和8年4月1日より施行されます。

いわゆる共同親権についても、この法律により定められています。

こどもの未来のための親権・養育費・親子交流などに関する民法改正の主なポイント

親の責務に関するルールの明確化

父母に親権や婚姻関係があるかどうかに関わらず、こどもを育てる責任と義務についてのルールが明確にされました。

こどもの人格の尊重

こどもが心身ともに元気でいられるように育てる責任があります。こどもの意見に耳を傾け、その意見と人格を尊重しなければなりません。

こどもの扶養

父母は、親権や婚姻関係があるかどうかに関わらず、こどもを養う責務を負います。こどもが親と同じくらいの水準の生活を送れなければなりません。

父母間の人格尊重・協力義務

父母は、こどものために、お互いを尊重して協力する必要があります。

また、下記のような行為は、このルールに違反する場合があります。(暴力等や虐待から逃げることはルールに違反しません。)

  • 暴力や相手を怖がらせるような言動や誹謗中傷
  • 他方の親によるこどもの世話を不当に干渉すること
  • 特段の理由なく、他方の親に無断でこどもの住む場所を変えること
  • 約束した親子の交流を拒むこと
こどもの利益のための親権行使

親権(こどもの面倒をみたり、こどもの財産を管理したりすること) は、こどもの利益のために行使しなければなりません。

親権に関するルールの見直し

父母の離婚後の親権者の定めの選択肢が広がり、離婚後の父母双方を親権者と定めること(共同親権)ができるようになります。

父母の離婚後の親権者

父母の婚姻中は父母双方が親権者ですが、これまでの民法では、離婚後は、父母の一方のみを親権者と定めなければなりませんでした。

今回の改正により、離婚後は、1人だけが親権を持つ単独親権のほかに、離婚後に父母2人ともが親権を持つ共同親権の選択ができるようになります。

父母2人ともが親権を持つ共同親権の場合

日常の行為に当たる、食事や着る服を決めること、短い旅行、予防接種や習い事などについては、父母のどちらかで決めることができます。

日常の行為に当たらない、こどもの住む場所を変えることや将来の進学先を決めること、心と体の健康に大きな影響を与える治療やこどものお金の管理などについては、父母が話し合って決められます。

なお、父母の意見が対立するときには、家庭裁判所で、父母のどちらかが1人でその事項を決められるようにする裁判を受けることもできます。

一方の親が決められる緊急のケース

暴力等や虐待から逃れるために引っ越すこと、病気やけがで緊急の治療が必要な場合などは、父母のどちらも1人で決めることができます。

養育費の支払い確保に向けた変更点

こどもの生活を守るために、養育費をしっかりと受け取れるようなルールの創設と見直しが行われました。

合意の実効性の向上

これまでの民法では、同居親と別居親の間で養育費の支払を取り決めていたとしても、別居親が養育費の支払を怠ったときに別居親の財産を差し押さえるためには、公正証書や調停調書などの「債務名義」が必要でしたが、改正により、養育費債権に「先取特権」と呼ばれる優先権が付与されるため、債務名義 がなくても、養育費の取決めの際に父母間で作成した文書に基づいて、差押えの手続を申し立てることができるようになります。

法定養育費とは

これまでの民法では、父母の協議や家庭裁判所の手続により養育費の額を取り決めなければ、養育費を請求することができませんでしたが、今回の改正により、離婚のときに養育費の取決めをしていなくても、離婚のときから引き続きこどもの監護を主として行う父母は、他方に対して、一定額の「法定養育費」を請求することができるようになります。法定養育費の額は、今後、法務省令で定められる予定です。

裁判手続の利便性向上

家庭裁判所は、養育費に関する裁判手続きをスムーズに進めるために、収入情報の開示を命じることができます。また、養育費を請求する民事執行の手続きでは、地方裁判所に対する1回の申立てで財産の開示、給与情報の提供、判明した給与の差し押さえに関する手続きを行うことができるようになります。

安全・安心な親子交流の実現に向けた見直し

親子交流や父母以外の親族との交流に関するルールが見直されました。

親子交流の試行的実施

家庭裁判所の手続き中に親子交流を試行的に行うことができます。家庭裁判所は、こどものためを最優先に考え、実施が適切かどうかや調査が必要かなどを検討し実施をうながします。

婚姻中別居の親子交流

父母が婚姻中にこどもと別居している場合の親子交流は、こどものことを最優先に考えることを前提に、父母の協議で決め、決まらない時は家庭裁判所の審判等で決めることがルールとなります。

父母以外の親族とこどもの交流

父母以外の親族(例えば、祖父母等)とこどもとの間に親子関係のような親密な関係があった場合、こどもの利益のために、家庭裁判所は、こどもが父母以外の親族との交流を実施できるよう定められます。

関連リンク・資料

詳しくは、下記のパンフレットおよび法務省のホームページをご確認ください。

この記事に関するお問い合わせ先

こども未来部 子育て支援給付課
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