ロールモデル紹介 満島 孝文さん

京都信用金庫本店
企業成長推進部 満島孝文さん
大津市在住。同じく京都信用金庫にお勤めのパートナーとのあいだに、現在5歳と、1歳の女の子がいらっしゃいます。
職場復帰への支援も手厚い職場で、妻は平成28年春までの育児休暇を取得。安心感も大きいそうです。
支店にて渉外営業を担当ののち、平成27年4月に企業成長推進部へ。
平成28年、京都市ソーシャル・イノベーション研究所(SILK)のイノベーション・キュレーター塾第一期に参加。
「ソーシャル・イノベーション」=「社会的課題に取り組む仕組の開発」について学ばれたことを活かし、ソーシャルビジネスへの支援につながるプロジェクトに積極的に取り組んでいらっしゃいます。
1. 男性の育児参加を応援してくれる会社で気づいたこと
(男性の育児参加を推奨する会社の特徴、社内の雰囲気を教えてください。 )

京都信用金庫では、社員の仕事と生活の調和「ワーク・ライフ・バランス」を大切にし、女性も男性も働きやすい環境を作ろうと頑張っています。
まず、1年間に必ず「5日は職場を離れて連続休暇を取ること」が全職員に義務付けられています。それから「2日間のミニ休暇」もほぼ全員が取ります。それと、本人や家族の誕生日や結婚記念日などに使える「アニバーサリー休暇」が1日ずつ年2回。
結婚時に6日間、配偶者の出産時に3日間の特別休暇と、育児休暇として出産から1年以内に5日間、男性も申請することで取得できます。“申請するのが普通”という雰囲気です。
私も平成27年の12月に次女が生まれたとき、3日間の休暇を取りましたし、5日間の育児休暇を利用して、混雑を避けて家族旅行を楽しむことができました。結婚記念日は休日だったので、夫婦ふたりで大好きなお店に食事に出かけたのですが、その分アニバーサリー休暇は2日分残っていますね。5日連続と2日連続の休暇を、取れ取れと言われているくらいです(笑)
連続休暇を取ってどこかに旅行に行く場合にも保養施設が用意されているので、福利厚生がとても充実していると思います。
休暇以外でも、「6時以降は残業するな」「残業になるほど仕事が多いなら申告するように」と言われています。社員のワーク・ライフ・バランスを大事にしたいと、勤務時間内の仕事の効率アップを推進しているところです。
一方で、営業の社員が早く帰ることでもし仕事が遅れたら、困るのはお客様なので、そこのフォローをしていくのは、これからの課題ですね。
2. 子育てと向き合うことで、働き方にも変化
(育児休暇を取る前、取った後で、仕事に変化はありましたか?)
会社ではなくて、家での動き方なんですけど、たとえば6時に帰れたら何が出来るかって言うと、子どもと遊んだり、お風呂に入れたり、歯磨きをしたりします。寝かしつけもします。そうすると、その分妻が自分の時間を使うことが出来ます。この夏は、ほとんど毎日子どもたちと一緒に風呂に入りましたね。
私は一人暮らしをしたことがないので家事はしたこともなかったし、できなかった。今もそんなにできません(笑)。妻が育児休暇を取っているので任せてしまって、長女が生まれたあとは、正直に言って家事の割合は妻:私=8:2くらいだったと思います。妻の実家が自宅からもすぐだし、妻の両親は孫たちを可愛がってくれるので、妻も私もとても助かっています。
そんなこともあり、具体的に私ができる家事を妻が指示するようになりました(笑)風呂掃除とかね。
今はこんな感じですが、長女が生まれた4年半前、支店で営業をしていた頃は、育児休暇について知らなかったし、休みを取らなかった。情報が届いてなくて、会社としてもまだそこまで力を割けていなかったのかもしれません。

今、会社は女性人材、特にフロント(注:営業など顧客と接する仕事)で働く人への支援が手厚く、産休・育休に職場復帰プログラムが用意されていて、育児中は短時間勤務も認められています。京都信用金庫のパンフレット、産休のページの写真は、実は妻と長女です。(笑)
今はまだまだフロントの女性が少ないので、優れた人材にはぜひ仕事を続けてほしいんです。
子育てと向き合ったことで、時代の変化に合ったダイバーシティの働き方に目を向けるようになりましたね。資本主義一本で働いていた時代、男性が外回り、女性が窓口と分けられていた時代は終わっています。男性だけでは見えないものの見方、イノベーション=新しい切り口で新しい価値を見いだしていくことが必要なんだと思えるようになりました。
京都信用金庫は他の大きな銀行に比べると小規模な金融機関です。これからどのように生き残っていくのか危機感は持っていますが、この状況を救うキーワードが「女性」だと思います。女性が働きやすい、しかも多様な働き方ができる会社であるように、社内を整えていきたいと思っています。実は、平成28年10月1日から女性の営業担当も3人誕生していて、動き出しているところです。
3. 苦労や楽しさも。すべてが大切な思い出に
(育児に関わって良かったこと、苦労したことは? )
苦労の方から言うと、私と妻、両方が仕事のときに長女が体調を崩して、病院に連れて行かなくちゃいけなくなったことがありました。私が当時勤めていた支店に到着した頃、妻もイベントの運営に関わっていて、「休めない。どうするんだー」と思って支店長に相談したら、「お前が休め」と言ってもらえたんです。それができるんだと、この時気づきました。それまでは、男が外に出るもんだという意識が、まだありましたね。
こういうトラブルのときに休みやすい社内文化を、いきなりは無理でも作っていきたい。私は、今は本部にいますが、営業で外を回っていたら、やっぱりすべてを自分のペースでは出来ません。お客様があってのことだし、どうしても帰りが遅くなる。
それでも、目先の利益だけを追うことは、これからはやっていけないと思います。100年、1000年と継続して事業が続き、利益が生まれる仕組を構築するには、やはり人材が必要です。人材確保に向けて、女性も男性も人生の時間と仕事を調和していくためのハード=制度はできてきました。これからは、ソフト=実際に子育てや生活と仕事との調和を図っている人間を増やしていきたいですね。
それからこれは苦労というか、当たり前のことなんですけど、子どもがいると、全てが子どものペースになりますよね。私は元々せっかちで、ご飯もひとりで先にさっさと食べて終わってしまう方なんですが、子どもがいると、それが出来なくなりました。
子どもと一緒だと、10分で済むことが2時間もかかってしまうこともあります。でもずいぶん、合わせられるようになりました。
あと、夫婦ともに子どもの方に意識が向いてしまうので、お互いコミュニケーション不足になりやすい。これはよくない。ケンカになります(笑)。あと、相手と自分の違いは違いとして受け入れています。性格が大きく違うから、むしろ受け入れやすいですね。
良かったことは、特別なことではないんですけど、家族が当たり前に一緒にいる風景を見られることが、一番幸せですね。健康で、平和で、笑っている。この幸せを守るためにも、仕事がんばろう、と思います。
なんでかって掘り下げたら、そういうときに子どもが嬉しそうにしている、幸せそうにしている。何よりそれが一番なんです。
4. イクメンがもっと増えることに期待!
(あなたの周りにイクメンはいますか?また、イクメンが増えるには?イクメンのコツとは? )
育児に積極的な男性、周りにめっちゃいます。まず共働きの家が多いので、話していると家族の話もよく出てくるし、家事をどれくらいしてるかの話もする。そういうとき、私はやっている家事が少ないので、羨ましがられますね。「そんなこともやってへんのか」って(笑)
家事・育児を分担することは、普通だと思っている男性が多いです。子どもを幼稚園や保育園に送り迎えする男性社員も多いし、そのために早く帰ることも許される会社です。
イクメンのコツは、やっぱり「共感」という言葉に尽きると思います。子どもに対しても、妻に対しても、気持ちに寄り添うっていうか。でもね、ここで伝えるってことは、なかなかできてないんですよ(笑)わかっているけど、なまけちゃってる。でも次女が来春保育園に入ったら、待ったなしです。保育園の行事で私が手伝えること、関われる機会は積極的に増やしていきたいです。
住んでいる地域のコミュニティにも、もっとタッチしていきたい。今はマンションなので、そういう機会が少ないけれど、多くの大人や子どもがいる中で関わっていきたいと思います。
5. 今後、子育てでチャレンジしたいこと
(今後どんなイクメンになりたいですか?)
う~ん、それは考えてみたことがなかったですね。チャレンジ・・・というか常々心がけていることなんですけど、人として当たり前の常識や、自分がこれまで生きてきた中で良いと思った部分を繰り返し、継続して子どもに伝え続けていきたいと思っています。
そして、伝えるにしても、自分の中に哲学がなければブレるし、本質部分を伝えなければ、伝わらないと思います。
例えば、ご飯を大事にすることを伝えるにしても、ただ「大事だから食べろ」じゃなくて、お米を心をこめて作っている農家さんのおかげで食べられるんだ、とか。私自身も親からそう言われて育ってきました。
これは京都信用金庫の社是でもあるんですけど、「地域社会に貢献する」ことは、私の哲学としても大事だと思っています。どうして社会に貢献するのかということも、本質の部分を毎日、伝え続けていきたいです。このあたりのことは、SILKのサイトに全部載せてます(笑)

子どもたちにも、社会に貢献する人間になってほしい。そこは言わば私のチャレンジかも。
長女はとくに私に似て、いらんことしぃなところもあるのですが、社交的です。みんなに愛される人間になってくれたらと思います。
将来何になるのか、どんなことをするのかは、自由にさせたいです。法を侵さない、人の気持ちを大切にする、あいさつをする、箸をきれいに持つ、正しい姿勢でものを食べる、といった基本的な生活習慣は身につけてほしいです。
ちなみに私自身は、厳しくしつけられることは、ほとんどなかったです(笑)でも、思ったことを自由にやらせてもらってきました。行きたいところに行くとか、やりたいスポーツとか。きっといろいろフォローしてくれてたんでしょう。自分が親になって、そのことに気がつきましたね。
子どもの可能性は無限大です。これから何になるのか、何をするのかも自由です。これから、どんな人に育つんだろう。そういう意味では、ものすごく期待しています。
更新日:2018年08月27日