プール監視員の業務と水質管理・薬剤管理について 事故ゼロに向けて
プール監視員の業務と水質管理・薬剤管理について 事故ゼロに向けて (PDFファイル: 2.0MB)
監視員の業務等について
監視人等の配置
- プール全体をくまなく見渡せるよう施設規模に見合う十分な数の監視員を配置し、監視台等を用いて高い位置から監視を行うこと。
- プールサイドに浮輪、搬送用加担等の救命具を備え、また、緊急時に対応できるようAED及び救急医薬品は直ちに使用できる場所に設置すること。
監視員は一定の泳力を有し、また、救助方法及び応急手当に関する講習会等を受講し、これらに関する資格を取得した者であることが望ましい。
監視業務での留意事項
- 監視員は、水着を着用すること。
- 監視は目の前だけでなく、顔をあげて広く監視し、監視中は監視業務に集中して水面を中心にプール全体を監視すること。
- 監視台での監視中は、緊急時及び交代時以外監視台から降りないこと。
- 監視中はサングラスを着用してよいが、入水する時は、サングラスを外すこと。
遊泳者の管理
- 体調不良者、泥酔者、保護者等の付き添いがいない幼児等を遊泳させないこと。また、利用形態が異なるプールを開設している施設については、幼児等が水深の深いプールを誤って利用することがないよう注意すること。
- 刃物やガラス製品等の他人に危害を加えるおそれのある物及び飲食物等のプール水を汚染させるおそれのある物をプール内に持ち込ませないこと。
- 飛び込み等危険な行為を行おうとしている者に対して、注意を促すこと。
注意点
水泳は心臓等に負荷がかかり、急病人が発生するリスクが高いため、体調のすぐれない遊泳者を発見した場合は、すぐに声をかけ遊泳をやめさせる必要があります。また、幼児のみでの遊泳は、重大な事故につながることがあるため、特に注意する必要があります。
水質管理(塩素消毒)について
遊離残留塩素濃度
感染症等の発生を防ぐため、プール水は塩素剤等により消毒し、遊離残留塩素濃度を0.4mg/L~1.0mg/Lに維持する必要があります。
残留塩素は、遊泳者からの汚れや日光等により消費されるため、プール水の遊離残留塩素濃度は、毎日午前中に1回午後に2回(望ましくは、1時間に1回)以上測定し、塩素剤等の投入量を調整して、濃度を適正に維持しなければなりません。また、遊離残留塩素濃度の測定結果は、毎回記録する必要があります。
プール水の消毒は、塩素剤の他二酸化塩素による消毒でも可能です。また、プール水には残留塩素濃度以外の項目も水質基準が設定されています。詳しくは滋賀県遊泳用プール条例をご確認ください。
滋賀県遊泳用プール条例 (PDFファイル: 182.2KB)
滋賀県遊泳用プール条例施行規則 (PDFファイル: 28.2KB)
水質検査の採水地点
- プール内の対角線上の3か所以上
- 循環ろ過水の取入口付近
矩形ではないプールにおいては、これに準じて採水してください。
塩素剤の種類
一般的に使用されている塩素剤は、以下の3つです。
- 「液体」 次亜塩素酸ナトリウム
- 「固体」 次亜塩素酸カルシウム(さらし粉)
- 「固体」 塩素化イソシアヌル酸ナトリウム
塩素剤には、それぞれ特徴があるため、現在使用中の塩素剤の成分や使用上の注意事項を確認し、適正に使用してください。
薬剤の管理方法について
次亜塩素酸ナトリウム等のアルカリ水溶液と、水質浄化目的で使用する凝集剤(ポリ塩化アルミニウム溶液(PAC))等の酸性溶液を誤って混合すると塩素ガスが発生します。
塩素ガスによる事故は多く発生しており、一旦塩素ガスが発生すると、発生を止めることは困難ですので、このような事故等を未然に防ぐためには、薬剤の管理を徹底する必要があります。
また、固体の次塩素酸カルシウムと塩素化イソシアヌル酸ナトリウムを混合すると発熱や発火の危険がありますので、同様に注意する必要があります。
塩素ガス発生するしくみ
次亜塩素酸ナトリウムは、pH値により存在形態が変化します。
酸性:塩素ガス(Cl2)
中性:次亜塩素酸ナトリウム
アルカリ性:次亜塩素酸イオン(ClO)
このため、次亜塩素ナトリウムに酸性物質が混ぜると塩素ガスが発生します。
塩素ガスの性状
常温常圧で特有の臭気を有する黄緑色の気体
次亜塩素酸ナトリウムとポリ塩化アルミニウムは、 保管容器や投入する容器も類似していることから、プール施設において、誤って混合してしまう事例が多くあります。
次亜塩素酸ナトリウムとポリ塩化アルミニウムの誤投入事例
- 学校のプール施設の機械室で清掃作業を行なった際に、次亜塩素酸ナトリウムが減っていたため補充しようとしたところ、誤ってポリ塩化アルミニウムを投入したために発生した塩素ガスを吸い込み受傷した。
- アルバイト社員が、プール施設の機械室内での清掃作業中、次亜塩素酸ナトリウム約10リットルを誤って隣接されているポリ塩化アルミニウムのタンク内に補充してしまったため、塩素ガスが発生し、そのガスを吸い込み受傷した。
- 男性教諭がプール施設の機械室で清掃作業を行っていた際に、誤って次亜塩素酸ナトリウムのタンクに凝集剤のポリ塩化アルミニウムを入れ塩素ガスが発生した。教諭から、異臭が発生している旨の報告を受けた教諭4名が現場確認中に機械室塩素ガスを吸い込み受傷した。
事故を防止するための薬剤の保管方法
- 薬剤は、それぞれ施錠可能な別々の場所で保管すること。
- 保管場所及び容器に薬剤の名称を表示すること。
- 水にぬれないこと。
- 直射日光が当たらないこと。
- 高温となっていないこと。
次亜塩素酸ナトリウムは長期保存すると有効塩素濃度が低下し、保管場所の温度が高いと劣化しやすいため、特に注意する必要があります。
事故を防止するための薬剤の使用方法
次亜塩素酸ナトリウムは強アルカリ性であるので、使用時は目や手を保護するため、ゴーグルや手袋を着用してください。また、薬剤の取り扱う者は、取り扱いについて十分な知識を習得し、薬剤を取扱う際は、できる限り複数人で作業を行ってください。
塩素剤による事故の応急措置
- 皮膚に付着した場合は、流水で十分に洗い流す。
- 目に入った場合は、流水で洗眼する。
- 吸入した場合は、新鮮な空気の場所へ移動する。
いずれの場合も、直ちに医療機関を受診してください。
塩素ガス発生時の対応について
- 速やかに退避する。
- 速やかに消防、保健所等に連絡する。
- 健康障害を受けるおそれがないことを確認するまでの間、関係者以外の立ち入りを禁止する。
- 見やすい箇所に塩素ガス発生の表示をする。
塩素ガスの中毒症状
激しい痛み、灼熱感、嘔吐、激しい咳、湿疹、皮膚炎、呼吸困難等
遊泳用プールに起因する疾病又は事故が発生したときは、直ちに保健所に報告する必要があり、また、万一事故が発生した場合に、速やかに対応できるよう連絡体制及び対応方法についてマニュアルを作成し、整備する必要があります。
プールでの事故の発生を防止するため、プールの開設者は監視員等に対して事故防止対策、事故発生時の対応、その他安全及び衛生管理に必要な事項について、研修及び訓練を行ってください。
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この記事に関するお問い合わせ先
健康福祉部保健所 衛生課
〒520-0047 大津市浜大津四丁目1番1号 明日都浜大津2階
電話番号:077-522-7372
ファックス番号:077-522-7373
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更新日:2025年03月12日