「文学のまち大津」インタビュー:「青春21文字のメッセージ」福井美知子さん、滋賀大学教授 馬淵 哲さん

更新日:2026年07月07日

湖都の言の葉ロゴマーク

 「文学のまち大津」インタビュー集。大津市内で文学に関する活動を続けている人を訪ねて取材をしています。

 令和8年に20回の節目を迎える「青春21文字のメッセージ」。京阪電車石坂線の21駅にちなんで、21文字に託した青春メッセージを全国から集めています。

 そのプロジェクトの代表を務める福井美知子さんと、寄せられたメッセージやテーマを題材とした絵画の制作企画に取り組んでおられる、滋賀大学教授馬淵哲さんにお話をうかがいました。

インタビュー

― 「青春21文字」の活動内容 ―

 この活動は、もともと大津市のまちづくり事業として始まったものです。京阪電車沿線に学校が多いことから、各校最寄りの駅構内での作品展示や、電車内を“日本一細長い美術館”に見立てた企画など、京阪石坂線を活用しながら、地域とアートをつなぐ活動として発展してきました。ある年に「電車と初恋」というテーマで、学校の垣根を越えた沿線各校の「青春同窓会」というものを企画しました。それはなかなか苦労したので一年で終わったのですが、同じ電車で同じ時間を共有したという経験は全国各地であることでしょうし、全国で作品を公募したらどうかという話に広がっていきました。

 作品テーマは「21文字」で表現する電車と初恋ということにして、歌人として有名な俵万智さんに審査員をお願いすることになりました。俵さんは、お忙しい中で20回ずっと審査を担当いただいています。

 また、成安造形大学とはシンボルマークを作成するときに連携しました。広報物全般に使用し、京阪電車のヘッドマーク(写真のものです)にもなっています。

 「21文字」という文字数は、石坂線の21駅に由来します。踏切や車窓からでも“ぱっと読める長さ”として考えられたもので、短歌や俳句とも少し異なる、“一瞬で心に届く言葉”を目指して続けられてきたものです。 

福井美知子さん

 

 

福井さんと馬淵さん
馬淵哲さん

― 「青春21文字」ことばを絵にする企画 ―

 近年は、「ことばを絵にする」企画として、美術とのコラボレーションも展開しています。滋賀大学・滋賀大学教育学部附属学校園・膳所高校美術班などと連携し、幼稚園児から大学生までが、青春21文字の作品やテーマをもとに、絵画やインスタレーション作品などを制作するものです。

 この企画については、「言葉を書く人」と「絵を描く人」が別であることに面白さがあります。同じ言葉でも、人によって感じ方や解釈が違います。だからこそ、自分の作品が別の誰かによって絵になることで、新しい発見が生まれるのでしょう。実際に展示会場では、自分の言葉が絵として表現されたことに感動し、作品の前で記念写真を撮る応募者の姿も多く見られました。

 また、作品制作を通じて、子どもたちや学生が“社会とつながる経験”を得ていることも、この活動の大きな特徴です。今の若い世代は、SNSで“いいね”をもらうことはあっても、自分の作品を実際に人が見て、反応してくれる経験は意外と少ないのです。会場で来場者と直接話したり、自分の作品を見てもらったりすることは、非常に大きな意味を持っているでしょう。

 展示会場では、学生たちがその場で作品を描き、来場者との交流が自然に生まれる場面もありました。小さな子どもが作品づくりに参加したり、来場者が学生に感想を伝えたりと、世代を越えたコミュニケーションが広がっていったのです。

青春21文字_京阪電車写真

 

 

青春21文字_滋賀大コラボ

 

 

青春21湖都の葉展示会場

― 将来への展望 ―

 さらに近年は、映像やメディアアート、デジタル技術を活用した表現との連携も模索しています。文学、美術、音楽、映像など、分野を越えて人が交わることで、新しい文化や地域の魅力が生まれていく可能性があります。

 “21文字”という小さな言葉から始まった取り組みは、今、アートや地域、人と人をつなぐ文化プロジェクトへと広がり続けています。言葉をきっかけに、人が出会い、表現が広がり、新しいつながりが生まれる――。そんな文化の循環が、大津のまちの中で少しずつ育まれているのです。

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