景観重要広告物の指定について

更新日:2021年07月14日

景観重要広告物とは

まちなみの雰囲気に配慮した看板は、まち全体の景観の質を向上させます。また、屋外広告物は、まちの歴史的な背景を映し出す資源としても貴重なものです。時代を超えて継承されてきた広告物は、まちなみ景観に魅力的な味わいを添えるものとして、「古都大津」の景観を構成する重要な要素と言えます。

そこで、本市では、長年にわたり地域の皆さまに親しまれ、大津の景観の一部となってきた広告物が、将来に渡って保全および継承されることを願い、 「大津市景観重要広告物」を指定しました。

全国的にもめずらしい取り組み

全国には、景観法に基づく自主的な景観づくりを進めている景観行政団体と呼ばれる自治体が約750(令和2年3月末時点)あります。景観法では、景観重要建造物として建築物などの指定について定められているところですが、広告物に重点を置いた制度はありませんでした。

景観重要広告物は、大津市独自の制度であり、地域の景観を構成する重要な要素として住民に親しまれてきた広告物を将来にわたって伝えるものです。

これまでの指定

平成22年12月4日指定5件
平成25年10月6日指定3件
平成26年11月29日指定3件
平成29年11月4日指定2件
令和2年11月28日指定2件

平成22年度の指定の対象地域

大津の中心市街地である大津駅から浜大津にかけての一帯(中心市街地活性化基本計画区域) (PDF:543.1KB)を対象地域としました。ここは、旧東海道などの街道に沿った区域で、古くから大津の繁栄を支えており、その証としての価値ある屋外広告物がいくつもの時代を経て残されています。

平成25年度の指定の対象地域

大津市が平成25年10月10日に古都指定を受けて10周年であることを記念して、古都保存法による歴史的風土特別保存地区とその周辺(歴史的風土特別保存地区の中心から半径1キロメートル圏内) (PDF:61.2KB)を対象地域としました。歴史的風土をつくり出している社寺を支える歴史的な街並みに、古都大津の景観にふさわしい屋外広告物が残されています。

平成26年度の指定の対象地域

大津市が平成25年11月に草津市と「びわこ大津草津景観宣言」と名付けた共同宣言の調印を行ったことから、両市を結ぶ旧東海道を活用した景観連携を図るため、歴史的なまちなみを形成する屋外広告物を両市それぞれが表彰することとしました。大津市においては、JR石山駅から草津市との行政界までの旧東海道沿道(沿道から半径500メートル圏内を含む)を対象地域としました。

平成29年度の指定の対象地域

東海道を中心とした膳所地域(JR・京阪膳所駅から京阪粟津駅)を対象地域としました。ここは江戸時代に築城された膳所城の城下町の遺構が数多く残る歴史的なまちなみと、JR膳所駅前から琵琶湖岸にひろがる商業地域における都市環境が一体となった地域であり、大津市の豊かな歴史を未来に継承する上で重要な地域です。

令和2年度の指定の対象地域

堅田地域(JR堅田駅周辺から浮御堂、出島灯台を含む琵琶湖岸周辺まで)を対象地域としました。堅田は平安時代末期から江戸時代にかけ、琵琶湖最大の自治都市が築かれた所で「堅田千軒」や「諸浦の親郷」と呼ばれました。今もまちのそこかしには、激動の時代に夢を馳せた人々の名残をとどめる史跡が息づいており、大津市の豊かな歴史を未来に継承する上で重要な地域です。

 

大津市景観重要広告物

指定第1号

八百与
  • 名称:八百与
  • 広告物の種類:ひさし看板
  • 大きさ:縦90センチメートル×横220センチメートル
  • 製作年代:嘉永3年頃(1850年頃)
  • 所在地:大津市長等二丁目9-4
  • 創業は嘉永3年(1850)

ひさし看板に描かれた大きな蕪の絵は、近江かぶらを描いたものです。ケヤキの1枚板で出来ており、およそ160年前に製作されたものと伝えられています。台座が狛犬の彫刻であったり、銅葺きの大きな屋根があるなど、看板を大事にする気持ちが伝わります。その都度改良を加え、今に至ります。

指定第2号

元祖阪本屋鮒壽司
  • 名称:元祖阪本屋鮒壽司
  • 広告物の種類:ひさし看板
  • 大きさ:縦135センチメートル×横550センチメートル
  • 製作年代:昭和10年
  • 所在地:大津市長等一丁目5-21

県下で初めて鮒ずしの商品化に取り組み、明治2年に鮒ずしの販売を専門に行う分店として、現在の札の辻の地で開業しました。
ひさし看板は舟の底板を利用したユニークな構造となっています。ノミで彫られた文字には、白色の塗料が丁寧に施されています。

指定第3号

鶴里堂
  • 名称:鶴里堂
  • 広告物の種類:ひさし看板
  • 大きさ:縦135センチメートル×横210センチメートル
  • 製作年代:大正15年以前(不詳)
  • 所在地:大津市京町一丁目2-18

一世紀以上に渡り大津菓子の流れを伝える和菓子の老舗。
ひさし看板の文字は、山本竟山の書によります。書に従って丁寧に彫られており、緑青による塗装が施されていたようです。ケヤキの1枚板でできた看板は、銅板で囲われており、今なお美しい姿を保持しています。

指定第4号

御饅頭處餅兵
  • 名称:御饅頭處餅兵
  • 広告物の種類:ひさし看板
  • 大きさ:縦120センチメートル×横150センチメートル
  • 製作年代:明治初期(1870年頃)
  • 所在地:大津市中央二丁目5-37

創業およそ250年前。町方の餅や饅頭の店として栄えました。
大きな古い木製のひさし看板は、ケヤキの一枚板から作られています。看板の台座には梅のモチーフがあしらわれています。商標の部分などの金箔の跡が、開店当時の華やかさを偲ばせます。

指定第5号

石田歯科醫院
  • 名称:石田歯科醫院
  • 広告物の種類:壁面広告物
  • 大きさ:縦35センチメートル×横125センチメートル
  • 製作年代:大正12年
  • 所在地:大津市中央一丁目7-33

広告物が設置されている建築物は、国の登録有形文化財(建造物)として指定を受けています。壁面広告物は、イタリア産の大理石を用いた西洋の仕様となっていますが、掘り込まれた医院名は、右から左へ書かれており、日本風のものとなっています。オールドイングリッシュ体で書かれた英語名が、洋館にマッチしています。

指定第6号

名物生蕎麦、東宮殿下御賜買上之榮
  • 名称:名物生蕎麦、東宮殿下御賜買上之榮 ほか3点
  • 広告物の種類:ひさし看板、壁面広告物
  • 大きさ:縦60センチメートル×横195センチメートル、縦55センチメートル×横120センチメートル ほか
  • 製作年代:明治20年頃
  • 所在地:大津市坂本四丁目11-40
  • 店名:本家鶴㐂(き)そば

広告物が設置されている建築物は、国の登録有形文化財(建造物)として指定を受けています。5枚の看板は、建物と一体となり、お店の受け継がれた歴史を感じさせます。正面2階中央部に掲げられた扁額には「東宮殿下」と記され丁寧に掘り込まれ、縁と文字には金箔が施され、宮内省(現・宮内庁)御用命の風格を感じさせます。

指定第7号

坂本名物生そば、手打生そば
  • 名称:坂本名物生そば、手打生そば
  • 広告物の種類:ひさし看板、壁面広告物
  • 大きさ:縦60センチメートル×横260センチメートル、縦45センチメートル×横90センチメートル
  • 製作年代:昭和2年頃
  • 所在地:大津市坂本四丁目11-38
  • 店名:日吉そば

日吉大社の参道沿いに建つ建物は料理旅館「をぐらや」として建てられ、現在はそば屋として営業されています。「坂本名物生そば」は木材の自然な形を活かした一枚板で作られています。「手打生そば」も一枚板で作られ木目が美しいです。どちらも変体仮名が使用されています。

指定第8号

茶丈藤村 
  • 名称:茶丈藤村
  • 広告物の種類:ひさし看板 
  • 大きさ:縦90センチメートル×横120センチメートル
  • 製作年代:平成7年 
  • 所在地:大津市石山寺一丁目3-22
  • 店名:茶丈藤村

石山寺の門前すぐのところに甘味喫茶を併設する和菓子店です。どっしりとした一枚板の造形が趣を感じさせる看板は、店主とその父親による手作りです。店名が白字で力強く記され、彫り込まれています。

指定第9号

容輝湯
  • 名称:容輝温泉
  • 広告物の種類:ひさし看板 
  • 大きさ:縦55センチメートル×横140センチメートル(概寸)
  • 製作年代:昭和9年頃
  • 所在地:大津市栄町17-12
  • 店名:容輝湯(ようきゆ)

石山商店街から少し入ったところにある銭湯です。正面の大きな木製看板は創業時より掲げられているものであります。ケヤキの一枚板で出来ており、「かまぼこ彫り」という技法にて「容輝温泉」と丁寧に彫られています。唐破風屋根の軒下に掲げられた看板はいっそう建物の風格を感じさせるものとなっており、町並みにとけ込む存在となっています。

指定第10号

松村油清
  • 名称:油
  • 広告物の種類:突出広告物 
  • 大きさ:縦50センチメートル×横80センチメートル(概寸)
  • 製作年代:昭和44年頃
  • 所在地:大津市唐橋町17-4
  • 店名:油清商店(あぶらせしょうてん)

軒先に吊り下げられた突出広告の形をとる木製看板は現在の店主が自ら作成したものであります。文字の色は建物と同じ弁柄色で着色されており、「油」の一文字のシンプルな看板でありますが、町家建築と調和した、存在感のある建物のアクセントとなっていると感じられ、旧東海道の面影を残していると言えるでしょう。

指定第11号

にしよ呉服店
  • 名称:西與呉服店、にしよ
  • 広告物の種類:ひさし看板 
  • 大きさ:縦100センチメートル×横390センチメートル、縦80センチメートル×横310センチメートル(いずれも概寸)
  • 製作年代:昭和4年頃、平成元年
  • 所在地:大津市瀬田二丁目2-1
  • 店名:にしよ呉服店

正面の入り口の軒上に掲げられた木製看板は「西與呉服店」と記されています。文字は金箔で施されており、今もなお美しい姿を保持しています。片方の入り口にも「にしよ」と彫り込まれた木製看板が掲げられております。双方共に看板もケヤキの一枚板で出来ており、銅葺きの大きなひさしが看板を守られており、「瀬田の唐橋」という交通の要衝に適した威厳のある看板です。

指定第12号

亀屋廣房
  • 名称:亀屋廣房
  • 広告物の種類:ひさし看板 
  • 大きさ:縦90センチメートル×横189センチメートル(いずれも概寸)
  • 製作年代:昭和33年頃
  • 所在地:大津市本丸町3-7
  • 店名:亀屋廣房

京菓子司「亀末廣」より暖簾分けして、別家として城下町膳所にて、昭和16年より店を構えられている和菓子屋。東海道の町並みにふさわしく、これぞ膳所地域の景観をつくっていると言っても過言ではない看板です。木材は固く、目のつまった材を使用しており、長く使用することを意識して作られていると想像できます。看板の縁も銅板で丁寧に巻かれ、雨よけの屋根もついており、店に風格を添えています。

指定第13号

馬杉
  • 名称:びわ湖名産 時雨煮馬杉
  • 広告物の種類:ひさし看板 
  • 大きさ:縦40センチメートル×横160センチメートル(いずれも概寸)
  • 製作年代:昭和40年代
  • 所在地:大津市本丸町1-3
  • 店名:馬杉湖魚店

琵琶湖の川魚にこだわった時雨煮の店として明治43年に膳所の地で創業。船底板を使った看板は、琵琶湖の漁師に製作してもらったもの。方形に切断せずその形を残しながら使用しているところに地域性を感じます。看板は比較的低い位置に掲げられており、その下にある暖簾へと目が移るように工夫されているところも一つの景観形成と言えます。

指定第14号

  • 名称:中井呉服店
  • 広告物の種類:ひさし看板 
  • 大きさ:縦90センチメートル×横355センチメートル(いずれも概寸)
  • 製作年代:大正末期
  • 所在地:大津市本堅田二丁目12-3
  • 店名:中井呉服店

歴史的なまちなみに調和した町家の店舗の壁面に、大正時代の末期から設置された看板です。素材には、充分な厚みのある大きな一枚板が使われており、看板と一体となった庇も、当時の職人が呉服屋さんということを考えて、やわらかい雰囲気を出すべく工夫されたと思われるデザインとなっています。これぞ堅田地域の景観をつくっていると言っても過言ではない看板と言えます。

指定第15号

  • 名称:Mobiloil
  • 広告物の種類:ひさし看板 
  • 大きさ:縦58センチメートル×横240センチメートル(いずれも概寸)
  • 製作年代:昭和初期(不詳)
  • 所在地:大津市本堅田三丁目5-5)
  • 店名:Mobiloil(藤本石油株式会社)

堅田本通り商店街を琵琶湖に向けて歩くと、誰もが目を惹きつけられる看板で、90年以上前から、堅田地域の人々に親しまれてきた看板と言えます。長い時間をかけて、大切に守られてきたもの、それは、店主のMobilに対する強い想いであり、それが現在の形となって、非常に美しい状態で保存されています。

その他大津市の景観にかかる指定制度・表彰について

この記事に関する
お問い合わせ先

都市計画部 都市計画課
〒520-8575 市役所本館3階
電話番号:077-528-2770
ファックス番号:077-527-1028

都市計画課にメールを送る