水質検査体制
安全でおいしい水を安心してお届けするためには、水質検査は欠かせません。企業局では、皆さんに安心して飲んでいただくために、水源から浄水処理過程、市内の給水栓水に至るまで、きめこまやかな水質管理を行い、常に安全で高品質な水道水の供給に努めています。
水質検査を行っているのが水質管理課で、年度ごとに水質検査計画を作成し、その計画に従って水道水質の検査を実施しています。
水質検査
浄水場から送り出した水は、直接あるいは配水池を経由して各家庭や工場、病院等へ届けられます。安心して使っていただくため、浄水場だけでなく蛇口の水についても、定期的に水質検査を行い、安全性を確認しています。
毎日検査
水質の最も基礎的な3項目(色、濁り、消毒の残留効果(遊離残留塩素))について、水道管の布設状況や浄水場からの距離を考慮し、市内20地点の給水栓で実施しています。
基準項目検査
年4回、原水・浄水・栓水(※注)の水質基準項目(原水は消毒副生成物及び味を除く)を検査します。また、法令で月1回の検査が義務付けられている項目については、月1回の検査を行っています。また、水質管理の強化の点から、基本的な項目について回数を増やして検査しています。
(※原水とは琵琶湖から取水した浄水処理前の水、浄水とは浄水処理後のきれいな水、栓水とは水道管を経由し蛇口から出る水のことをいいます。)
区分 | 対象(検査項目) |
---|---|
年4回 | 水質基準の51項目 |
月1回 | 一般細菌、大腸菌、塩化物イオン、有機物、pH値、味、臭気、色度、濁度、臭気物質(原因藻類の発生時のみ) |
管理強化 | pH値、味、臭気、色度、濁度 |
大津市企業局では自己検査体制を整えており、水質基準項目全てを水質管理課において検査することができます。これにより、緊急時には迅速な対応が可能となっています。
また、「水道水質検査優良試験所規範(水道GLP)」を認定取得しています。この認定により、水質管理課の水質検査体制は、水質検査機関として優れたものであると、第三者機関である公益社団法人日本水道協会に認められたことになります。
管理目標設定項目検査
水質管理の上で注意すべき項目として水質基準項目に加えて、管理目標設定項目が定められています。これらの項目についても、原水・栓水を対象に定期的に検査を行っています。
臨時検査
定期検査以外に、水源の急激な水質の変化等により、水質基準に適合しないおそれが予見される場合は、臨時の検査を行い、水道水の安全確保に努めています。
その他の検査
水道法に義務付けられている検査以外に、水質管理を強化するための検査を行っています。
種類 | 内容 |
生物試験 | 浄水処理に影響を及ぼす生物(植物プランクトン)の発生状況を監視しています。 |
クリプトスポリジウム等とその指標菌の検査 | 水系感染症を引き起こす可能性のある原虫類に関する検査を「水道におけるクリプトスポリジウム対策指針」に基づき行っています。 |
放射性物質の検査 | 水源を代表する監視地点で、放射性物質のモニタリングを行っています。 |
検査施設
理化学試験室
濁度、色度、pH値、電気伝導率などの水の基礎的な性質を検査します。
前処理室
測定対象の物質を濃縮、または、抽出する作業などを行います。
細菌試験室
病原微生物による汚染がないか確認する試験をおこないます。
生物試験室
原水(琵琶湖水)に、浄水処理に影響する生物や、においの原因になる生物がいないか観察します。
GC-MS室
ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)で、かび臭の成分や有機化学物質などを測定します。
LC-MS室
液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)で、消毒副生成物や農薬などを測定します。
機器分析室
塩化物イオンなどの無機物質や有機物量を測定する分析機器があります。
ICP-MS室
誘導結合プラズマ質量分析装置で鉄やマンガンなどの金属を測定します。
水道原水(琵琶湖水)の調査
大津市の水道水は、琵琶湖の水からつくられています。定期的に水源である琵琶湖の水質について調査をおこなっています。
琵琶湖は、日本最大の湖で広大な面積と膨大な水量を誇っており、単独の調査には限界があるため、琵琶湖や淀川の水を取水する京阪神の水道事業体との、合同調査も行っています。
その内容は、理化学的・生物学的試験を中心に、湖で発生する淡水赤潮やアオコ、特に夏場において水道水に異臭味を与えるかび臭などを対象としています。
琵琶湖に発生したアオコ
アオコの原因となる植物プランクトン

アオコやかび臭の原因となる植物プランクトン
琵琶湖は、およそ400万年前に誕生したといわれおり、バイカル湖(淡水湖)やカスピ海(塩湖)とともに世界で20程しかない古代湖のひとつです。豊かな自然と水量に恵まれ、飲み水はもちろんのこと、漁業、農業、観光、工業用の水資源として私たちの暮らしと密接な関わりをもっています。
過去においては急激な富栄養化現象にみまわれ、水質が悪化することもありました。水道にとっては良質な水源の確保は大切です。一人ひとりの水に対する関心がおおきくふくらみ、水環境の保全に発展するように願っています。
更新日:2023年04月01日